2010年度のニュース
2011年2月〜3月 弥生の「食」と「織り」の文化講座を開催
 下之郷史跡公園では弥生時代の生業や文化に関連する講座を開催しました。この講座は、弥生人の生活に注目し、講師から「食」や「織り」の文化についてお話しをしていただき、「ものづくり」や「試食」をはじめ、現在、下之郷史跡公園で取り組んでいる活用事業や活用団体の紹介なども行いました。

1 講座案内

講座
日時
 演題
 講師
 内容
第1回
平成23年2月11日(金・祝)
 午後1時から午後3時30分まで
『弥生のワザをつむぐ
−糸と染めのふしぎ−』
名倉 京子
 (龍谷大学 講師)
東村 純子     
 (京都大学博物館 研究員)
弥生時代の糸づくりや機織り、染めの技術について、実演を交えてわかりやすく解説します。
第2回
平成23年2月19日(土)
 午後1時から午後3時30分まで
『アジア東部のモチ文化』 阪本 寧男
 (京都大学 名誉教授)
土山 博子
 (稲と雑穀の会 代表)
遺跡から雑穀「アワ」が発見されています。穀類のもち品種の栽培、利用の起源や伝播を紹介します。またモチ菓子をつくります。
第3回
平成23年3月5日(土)
 午後1時から午後3時30分まで
『弥生織りの実践
−東アジアのなかの弥生織り−』
東村 純子
 (京都大学総合博物館 研究員)
立石 文代
 (弥生織りの会 代表)
 アジアの少数民族や弥生時代の機織りを紹介しながら、体験学習を行います。
第4回
平成23年3月12日(土)
 午後1時から午後3時30分まで
『赤米とは』 小川 正巳
 (県立広島大学 客員研究員)
土山 博子
(稲と雑穀の会 代表)
現代の田んぼでは、ほとんど見られなくなった赤米の歴史や、その正体について説明をしていただきます。また、赤米でお菓子をつくります。

(第1回) 『弥生のワザをつむぐ−糸と染めのふしぎ−』

2月11日(金・祝)に、第1回の弥生の食と織りの文化講座を環濠保存施設多目的室で開催しました。
第1回の講座は、龍谷大学講師の名倉京子さんと京都大学博物館研究員の東村純子さんを講師に迎え、「弥生のワザをつむぐ−糸と染めのふしぎ−」と題して開催しました。 
今回の講座は、糸づくりと染めの実習を織り込んだ内容で行われました。受講者の多くは、綿花から糸を紡ぎ、その糸を藍染めするという初めて体験に真剣に取り組んでいました。

東村先生の講演
東村先生の講義
聴講の様子
聴講の様子
名倉先生の講演
名倉先生の講演
体験学習「染め」の様子
体験学習「染め」の様子


(第2回)  『アジア東部のモチ文化』

今回は、阪本寧夫さん(京都大学名誉教授)と土山博子さん(稲と雑穀の会代表)を講師にお迎えしての講座となりました。
阪本寧夫さんの講義は、「アジア東部のモチ文化」と題して、これまでの東アジアでのフィールド ワークの成果から、アジア東部に限定されたモチの文化について講義いただきました。
また、土山博子さんは、下之郷遺跡の活用団体である「稲と雑穀の会」結成までの経緯と現在の 活動内容についてお話いただきました。
お二人の話に対して、受講者から次々に質問が寄せられるなど、大変充実した講座となりました。

阪本先生の講義
阪本先生の講義
土川さんの講義
土山さんの講義
受講風景
受講風景
いもつぶし
いもつぶし

* 「いもつぶし」は換金作物として、商品価値のない親芋(おやいも)と小米(こごめ)を同量で炊き、つぶして丸め焼く。そして、砂糖や醤油、きな粉などをつけて食べたそうです。


(第3回)  『弥生織りの実践−東アジアのなかの弥生織り−』

弥生の食と織りの文化講座・第3回は「弥生織りの実践−東アジアのなかの弥生織り−」をテーマに3月5日(土)開催しました。
今回は、第1回講座の「弥生のワザをつぐむ−糸と染めのふしぎ−」の講師を務めていただいた京都大学博物館研究員の東村純子さんの講演と、下之郷遺跡の活用団体である「弥生織りの会」代表の立石文代さんの指導による弥生の織りの実習を行いました。
実習では、第1回の講座で綿花から紡ぎ、藍染めした糸を使用して、弥生時代の織りものづくりに真剣に取り組んでいました。
ある受講者は、「機織りについて少しは知っていたが、頭の中のイメージと実際に体験するのとは大違いで、貴重な体験をさせてもらった。」と感想を話されていました。

東村さんの講義
東村さんの講義
立石さんの説明
立石さんの説明
実習風景
実習風景
弥生織り体験
弥生織り体験


(第4回)  『赤米とは』

今回は、赤米の研究で有名な小川正巳先生(現 県立広島大学客員研究員)に赤米についての講演と、下之郷遺跡の活用団体である「稲と雑穀の会」代表の土山博子さんによる古代食研究の成果についての話と試作品の紹介を行いました。
 小川先生には、様々なエピソードを織り交ぜながら、赤米の歴史をわかりやすく講義していただきました。また、土山さんには、古代食研究の一環として、「和漢精進料理抄」などの古文書にレシピが記されている「紅切(べにきり)」を下之郷遺跡で栽培した赤米で試作した話をしていただきました。そして、実際に調理した「紅切」を受講者とともに試食して、古代の味を体験しました。

小川先生講演風景
小川先生講演風景
土山さんの話
土山さんの話
古代食体験
古代食体験
講座終了風景
講座終了風景験
「紅切」の写真
「紅切」の写真

「紅切」ー『和漢精進料理抄』1697年ー    

うるの米の粉を絹ふるいにてふるい、長芋の皮をむきおろしてこねて細く切り、
湯煮して温飩のごとくして出すなり。大唐米8合 もち米2合  色赤くして見事なり。
又、キビにても打也。汁同然、胡椒の粉付けて出す。
 ≪材料≫ 赤米粉、もち米粉、長芋、塩、水
  



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