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 2013年度のニュース
弥生人養成講座[植物利用]

第3回:サクラを愛でる心はいつごろからか?(2月22日)

今回のお話をもって弥生人養成講座[植物利用]3回コースは終了しました。
 講義内容
開催日
演題
講師
内容など
第1回
7月6日(土)うるしの技術と文化 本吉恵理子(龍谷大学付属平安高校)
川端圭介(銅駝美術工芸高校)
うるし製品の製作工程見学
第2回
1月25日(土)ドングリとその食文化 阪本寧男(京都大学名誉教授) ドングリムックの調理と試食
第3回
2月22日(土)サクラを愛でる心はいつごろから? 佐藤洋一郎(総合地球環境学研究所)
花森功仁子(()ジェネティック)
サクラ菓子の試食
  主催 守山市教育委員会 文化財保護課、 共催 稲と雑穀の会

【第3回の講義】
下之郷遺跡の環濠の中から、握り部に樹皮を巻いた磨製石剣が発見されています。その樹皮のDNA分析からその樹皮が「サクラ属」であることが特定されています。 これに因み、2月22日(土)、下之郷史跡公園で、DNA分析をされた佐藤先生と実際に分析作業をされた花森先生から、DNA分析の話と桜にまつわる歴史、風俗、利用などについての講座が行われました。
植物のDNA分析は、下之郷遺跡で出土した稲籾の分析で「熱帯ジャポニカ」の発見に威力を発揮した手法で、佐藤先生と花森先生はこの分析もされた方です。
先ず、花森先生から、どのようにしてDNA分析をして、どのように判断するのか、理論的なお話しがありました。
その後、桜にまつわる幅広い話−−縄文時代から各時代の桜利用、桜の種類と交配による新品種開発、桜餅に使われる櫻の葉、桜を利用した料理、海外での使われ方、などなど、興味深いお話しでした。
最後に、稲と雑穀の会の土山さんが赤米を使った桜もちを振る舞って頂きました。赤米なので着色しなくっても桜色の美しい色でした。
下之郷遺跡からは、桜の木から剥ぎ取った桜の樹皮そのものも環濠から出土しており、桜が古くから使われていたことが判ります。
講師
佐藤先生と花森先生
石剣
桜の樹皮を巻いた石剣
桜の樹皮
発掘された桜の樹皮
赤米を使った桜餅
赤米を使った桜餅


第2回:ドングリとその食文化(1月25日)

下之郷遺跡の環濠の中から、イチイガシの葉や実(どんぐり)が見つかっています。実がまとまって見つかることから、採集したものと考えられます。これに因み、1月25日(土)、下之郷史跡公園で、阪本先生からどんぐりにまつわるお話しと食文化についての講座が行われました。
先ず、どんぐりの仲間(植物学的な分類)から始まり、名前の由来やどんぐりを使った遊び、どんぐりと昆虫の関係、世界での分布など幅広い話をお聞きしました。
次いで、食としてのどんぐり(栄養価)、日本各地でどのように食されていたか、さらには韓国、世界各地のどんぐり食文化についても紹介がありました。阪本先生がどんぐりからでんぷんを取り出した方法やサンプル、お菓子の作り方まで話が及び、参加者は興味深く聴いていました。
最後に、稲と雑穀の会の土山さんがどんぐりのでんぷんを使った「どんぐりプリン」の実演があり、参加者は黒蜜をかけたプリンを試食しました。食感は粘り気はなく寒天を食べた時のような歯触りでした。
講師
阪本先生とどんぐりの冬芽
いろいろなどんぐり
いろいろなどんぐり
どんぐりから採ったでんぷん
どんぐりから採ったでんぷん
どんぐりプリン
ドングリ・プリン


弥生人養成講座[植物利用](第1回:ウルシの技術と文化)

下之郷遺跡からはウルシ塗りの弓が、下長遺跡からはウルシで飾った儀仗などが出土しており、古くからウルシが利用されていました。これに因み、7月6日(土)、下之郷史跡公園で、本吉先生、川端先生からウルシの技術と文化についての講座が行われました。
本吉先生から、日本でのウルシの利用は旧石器時代に遡ること、縄文時代には広く利用されていたことなど考古学的な観点からのお話がありました。 川端先生は、工芸作家・技術教師としての立場から、利用技術、文化としてのウルシに付き話されました。
ウルシの採集や利用技術は非常にデリケートな面があることを聞いたのですが、川端先生が下之郷から出土した漆塗りの弓を観察された結果、とても完成度が高いそうです。昔の人たちの技術の素晴らしさに驚きました。
講師
講師の本吉さんと川端さん
出土したウルシ製品の解説
出土したウルシ製品の解説
ウルシを使う道具
ウルシの樹と利用する道具


下之郷史跡公園「夏休み体験講座」(3講座 7月〜8月)を実施
【開催趣旨】
下之郷遺跡は、地中から動物や草、木、虫、魚などがたくさん発見されていて、弥生時代のタイムカプセルとも言われています。今回は弥生人の生活や文化、環境を身近にある植物の標本作りやあい染め、あんぎん編みの体験を通して学びました。

【草花標本づくり体験】 講師:坂本寧男、土山博子(稲と雑穀の会)


講座
日時
 内容
定員
材料費
第1回
 平成25年7月26日(金)  草花や薬草の採集  15人  200円
第2回
 平成25年8月23日(金)  草花標本づくり

【1回目:草花や薬草の採集】
今回は、身近な場所に生育している草花を理解するために標本づくりをしました。標本づくりは、植物採集と観察からはじまります。植物学を専門としている阪本先生や稲と雑穀の会の方々の案内に従い、参加者は史跡公園を散策しながら、植物を採集していきました。採集した植物については、採集場所や日時などを付け、新聞にはさみ込む作業をおこないました。
作り方の説明
公園で草花を採集する
草花を採集
がまの穂も採集
説明を聞く
新聞紙に挟み込む
草引き
本日の採集の成果

【2回目:草花標本作り】
前回、新聞紙にはさけておいた植物を、台紙に貼りつける作業を行いました。
サンプルを見ながら貼り付けるのですが、かさばった植物は貼るのが大変で阪本先生や稲と雑穀の会の人に手伝ってもらいます。採集植物を台紙に貼った後は、植物の名前や採取場所、日付などを記入したカードを添えて仕上げていきます。図鑑を見て名前を調べたり、判りにくいものもは、阪本先生にその見分け方や名前を教えてもらいます。
最後に表紙を付けて完成です。
標本サンプル
標本サンプルを見て・・
台紙に貼り付ける
台紙に貼り付ける
貼り付けを手伝ってもらう
貼り付けを手伝ってもらう
植物の名前を調べる
植物の名前を調べる

【あい染めとまゆクラフト体験】 講師:立石文代(弥生織りの会)、林益代(弥生織りの会)


講座
日時
 内容
定員
材料費
第1回
 平成25年8月5日(月)  「あい」染め  20人  200円
第2回
 平成25年8月26日(月)  「まゆ」を利用した人形など製作

【第1回:あい染め】
「あい染め」というと、「紺屋さん」があいの葉を発酵させて使う本格的な染めと、生葉を使った簡易な染め方があります。 今回の体験講座では、収穫したばかりのあいの生葉を使って染め体験を行いました。
まず、刈り取ったあいの枝から葉っぱをむしり取り、水と一緒にミキサーに入れて粉砕します。それを布でろ過したものが染液になります。この染液は薄い緑色です。
大きなハンカチを浸し、水洗するときれいな藍色に変わります。ハンカチはあらかじめ、一部を糸でぐるぐる巻いてあり、そこには染料が入り込まずに白い模様となって残ります。
家族で参加してくれた子供さんは、出来あがった作品を赤ちゃんに見せてあげ、ほほえましい一こまでした。
葉をむしり取る
葉をむしり取る
染液作り
ミキサーで水と一緒に粉砕しろ過する
布の一部を輪ゴムでくくる
布の一部を輪ゴムでくくる
布を染液に浸す
布を染液に浸す
水で洗う
水で洗う
出来上がった作品
出来上がった作品
赤ちゃんに見せます
赤ちゃんに見せます

【第2回:まゆクラフト作り】
蚕を育てて出来上がったまゆを使ってのまゆクラフト工作です。
あらかじめいろいろな色に染めてあるまゆを素材として使い、はさみで切ったり、のり付けしたりして動物やアニメの主人公、花などを作ります。
最初、まゆを切ると、中からさなぎが出てきて、ちょっぴりびっくりです。まゆの丸っこい形を生かしてヒヨコやウサギを作るとなかなか可愛いです。 形が出来上がると、マジックで目を描いたりひげを描いて完成です。
体験講座の風景
体験講座の風景
細かい作業を真剣に
細かい作業を真剣に・・
まゆクラフトのサンプル    
まゆクラフトのサンプル

【あんぎん編み体験】 講師:中藤容子、林婦じ江(弥生織りの会)


講座
日時
 内容
定員
材料費
第1回
 平成25年7月29(月)  昔の編み機と編み方の説明  15人  200円
第2回
 平成25年8月2日(金)  あんぎん編みでものつくり

【第1回:昔の編み機と編み方】
「あんぎん(編布)」とは、植物繊維を素材とする編み布で、縄文遺跡から出土しています。布だけではなく、昭和の中頃まで、自宅で稲わらや麦わら、葦(あし)などを使って「むしろ」や「俵(たわら)」などを編んでいました。
弥生織りの会のおばあちゃんも子供のころ、あんぎん編みでむしろや俵を編む手伝いをしていたそうです。
夏休み体験講座では、子供たちにあんぎん編みを体験してもらいました。 琵琶湖博物館で民具の調査研究をしている中藤容子さんに民具の話やあんぎん編みのことを聞いた後、下之郷のおばあちゃん宅で保管されていたあんぎん編み機の使い方の実演を見学しました。 その後、中藤さんやおばあちゃんの指導で、あんぎん編み機を操作したり、編んだりしました。縄(なわ)作りにも挑戦しました。
中藤さんの説明
中藤さんの説明を聞く
昔の編み機
昔の編み機とむしろ
編んでみる
簡単編み機で編み体験
なわ作りもしました
なわ作りもしました

【第2回:スダレを編む】
簡易あんぎん編み機でスダレを作りました。たて糸には毛糸を使い、麦わらを編んでいきます。
まず、麦わらのはかまや葉を取り除きストロー状にします。編み機にたて糸をセットし、毛糸で麦わらを交互に交叉させて編んでいきます。おばあちゃんにも手伝ってもらい、小さなスダレが完成しました。
中藤さんの説明
中藤さんの説明を聞く
おばあちゃんもお手伝
おばあちゃんもお手伝
スダレ作り
スダレ作りの最中
完成しました
完成した作品と記念撮影


下之郷史跡公園の弥生体験授業  吉身小学校5年生 [5月24日(午前) 140名]

遠足兼体験学習で、守山市立吉身小学校の5年生の生徒が、下之郷史跡公園へ寄ってくれました。
吉身小学校の5年生は、毎年、下之郷じいちゃんズと赤米を育てています。
この事前学習も兼ねて、「稲と雑穀の会」では、昭和30年代までお米、藁(わら)をどのように使っていたか・・という体験をしてもらいました。
この学習を通じて、昔の人は何でも大切にしたこと、無駄にしなかったことを知ってほしかったです。特のお米は捨てるところなく大切なものでした。
最後に赤米の粉と水飴で作ったあめをもらって帰って行きました

【うすすり(籾がらをはずす)】
まずは、お米の付いた穂から、籾をしごいて外します。その籾を臼(うす)に入れて竪杵(たてぎね)でもみ殻を外します。「米が細かくならないような力かげんでね。」
下之郷遺跡では、このような竪杵が何本も出土しています。
作業
作業の説明
穂
穂から籾をしごいて外す
臼
臼で籾を搗き脱穀する

【箕選[みせん](籾とお米を分ける)】
脱穀した籾とお米を、箕という道具を使い、風の力をうまく利用して分離します。
「お米を落とさないように手首をうまく使ってね。」
作業
作業の説明
箕選
箕を使ってお米を分離

【粉ひき(石うすで米を粉にする)】
焼いたお米を石臼の穴に入れ、臼を回転させて粉にします。
昔は穴にお米を入れるのは子供の役目、粉ができればおいしいお団子が作ってもらえました。
「穴にいい加減の量のお米を入れないと細かく引けないよ!」
作業
作業の説明
箕選
石臼を挽いて粉にする

【アンギン編み】
縄文時代からこのような編み方がありました。藁をきれいにすぐって、二本どりで縦ひもでくくっていきます。
「弥生織りの会」のばあちゃんたちにお手伝いをお願いしました。
作業く
作業の説明
藁を揃える
織りやすいように藁を揃える
アンギン編み
アンギン編みの最中です

【縄(なわ)編み】
縄を編む時は、わらを濡らし打って柔らかくして、編んだ時食い込みやすいようにします。
6本を3本づつに分けて、手をぬらし両手を広げ、手のひらで転がします。
足、ひざなど使えるものは使って好きな態勢で頑張りました。一番難しいと思われた物が一番面白かったようです。
作業く
作業の説明
木槌でたたく
藁を濡らして木槌でたたく
縄編み
上手に縄を編んでいます


下之郷史跡公園の弥生体験授業  吉身小学校6年生 [5月9日(午前) 144名]

今回は、地元の守山市立吉身小学校校の6年生の生徒が下之郷史跡公園で校外学習を行いました。
4月と同じメニューで、下之郷遺跡の説明を受け、機織りや火おこしの3つの体験授業を受けました。
【裏方さんの活動ぶり】
体験授業では、1校当たり、140名〜170名の小学生が3班に分かれ、3つの体験授業を交代しながら受けます。
稲と雑穀の会、弥生織りの会の皆さんが、授業の準備や指導を行いますが、とても大変です。
弥生織りの体験では、これだけ大勢(600名)の分の段ボール機(はた)と毛糸玉を準備しました。
今回は、そのような写真をご覧いただきます。
火起こし
火起こし道具の交換も必要です
毛糸
毛糸の小玉をたくさん作ります
疲れたね
やっと終わった、疲れたね


下之郷史跡公園の弥生体験授業
   速野小学校 [4月18日(午前)、19日(午前) 141名]
   物部小学校 [4月18日(午後)、19日(午後) 155名]
   川西小学校 [4月23日、26日   173名]

史跡の見学や体験を通じて大昔のくらしを考えようと、守山市立小学校, 3校の6年生の生徒が下之郷史跡公園で校外学習を行いました。
下之郷遺跡の説明を受け、遺跡から見つかった石器や土器などを見学し、機織りや火おこしの体験もしました。
この授業では、稲と雑穀の会が火おこし、弥生織りの会が機織りの実習を受け持ち、児童たちに手取り足取りで指導にあたりました。

【稲と雑穀の会による「火起こし体験」】
火起こし体験では、ヒモを巻き付けた道具を上下に動かすと木と木がこすれて粉になり、50回ぐらいで煙が出はじめ、それ以上でだんだん木の粉がこげて小さい火だねができます。
回すのも手の力の入れ具合でこつがいります。うまくできないと「もういいわ」とあきらめる子、「いつまでも代わりたくない子」色々です。
また弥生時代のつぼを真似て作ったつぼで赤米を炊いて、塩味にして試食してもらいました。赤米は玄米の部分が赤いので炊くとピンク色です。つぼは土鍋と同じでまったりとしたお粥に仕上がり、炊きたてなので「おいしい」「おかわりある?」「こんなおいしいの作る人天才や」と食べていました。
火起こし
摩擦で煙が出るまで回します
火種
点いた火種を吹いて大きくします
赤米かゆ
起こした火で赤米かゆ作り

【弥生織りの会による「織りもの体験」】
下之郷遺跡では当時の織り機の部品が発掘されています。織り機復元の話や、東南アジアで使われたいた、同じような腰機の話を聞きました。
この後の機織りでは、毛糸を使ってカラフルなミサンガを作りました。昭和の初め頃まで実際に機織りをしていた下之郷のおばあさんも参加され、児童とも楽しい時間が過ごせました。
自作のミサンガを、さっそく手首に付けて大喜びでした。
腰機の話を聞く
東南アジアの腰機の紹介
手織り
手織りでミサンガ作り
手首に付けたミサンガ
手首に付けたミサンガ



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